実は飲み会のセッティングとか得意だったりします。
学生時代はフッ重選手権 大学生の部の日本代表に選抜される実力の持ち主だったんだけど社会人はそうはいかない。どうやら大学生の部に選抜されたくらいでは社会人の部に選抜されることはないらしい。格が違う。社会人になっても尚フッ重でいるためには相当な意思と理由が必要だったのだ。
この間同じ部の人が転職するということで送別会をした。その時幹事を頼まれたんだけど条件が二つあった。
①予算は1人5000円くらいまで
②焼き鳥のお店で個室または半個室があること
そんなに厳しい条件ではないのでお店は割とすぐに見つかったが私はそれ以上のことがしたいと思ってしまった。言われたことだけをするのは幹事としてのプライドが許さなかったのである。よっ仕事人！！
その居酒屋は持ち込みOKのお店だったので事前に別の店でケーキを予約して持ち込むことにした。居酒屋の近くのケーキ屋さんをピックアップして厳選し、気になるケーキ屋さんに行ってみる。下見がてら。いやいい子すぎかよ。天使かよ。給料あげてくれよ。いや真剣ですよこちらは。
スライド式のドアを開けて店内に入る。定員さんがかぶっているベージュのハンチング帽が可愛い。椅子と机の高さが同じタイプの窓際の席に座って国産ブルーベリーのタルトとオーガニックの紅茶を注文した。店内にはオルゴールの優しい音が聞こえてきてコーヒーの淹れたての香りとケーキの甘い香りが充満している。奥のキッチンからカッカッカッカという音が聞こえてくる。生クリームとか混ぜてるのかな。コーヒーの良い香りを吸い込んで紅茶じゃなくてコーヒーの方が良かったかなああと思いながらも紅茶に心動かされた注文時の自分の感情を思い起こす。うん、紅茶が飲みたい。よしよし初心にかえれ戦法がうまくいった。
オレンジの縁のお皿の上にちょこんとのったキラキラブルーベリータルトと紅茶が運ばれてきた。小さいフォークでタルトの先っぽを崩す。うんんんんんんんんんまい！！！！よし、君に決めた！！！！！！
ブルーベリータルトはホールで購入可能ですか？と聞くと、桃のホールケーキもあります！と言われた。どうしよう。ブルーベリータルトめっちゃ美味しかったけど桃のケーキもありすぎる。絶対美味しい。ハンチングの定員さんは「桃は季節限定です！」と私に追い討ちをかける。うううううううう一旦考えさせてください、と言って店を出た。
3日くらい考えて桃のケーキにすることにした。予約の電話をする。
「桃のホールケーキの予約をお願いします」
「クリームが生クリームとマスカルポーネクリームがありますがどちらにされますか？」
「！！！！！！！！！！！！！」
聞いていない。桃にそんな選択肢があったなんて一度も聞いていない。言ってくれよ何があっても。ああ怖い選択人生。みんなどっちが食べたいの〜〜〜〜
こういう時は定員さんに聞くのが1番。「おすすめはマスカルポーネクリームですが？」と言われた。当たり前ですが？？？って感じで。いや当たり前だったのか！じゃあ聞かないでくれよ！問答無用でおすすめでいいよ！以前お会いした時にあなたのハンチングと笑顔を見て以来私はあなたのことが好きなんだから私はあなたに絶対なる信頼をおいています！！！！！！
そうして他にも色々準備して結果大成功だった。みんなが喜んでくれて嬉しかった。喜ばせたことに喜んでいる自分の存在に気がついて嬉しかった。
詰まるところこんなに天使な私の給料をあげてほしい、以上！である。
おしまいおしまい
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